2022年11月5日土曜日

岡島レポート・ 2019W 杯・備忘録 153

                                                2019W 杯・備忘録 153

〜  胴元 〜
 
まもなくサッカーW杯が始まる。主催(=利益享受)するのは、FIFAUEFAチャンピオンズリーグは、一時、中断される。今年バロンドールを受賞したフランス代表ベンゼマは、レアルマドリッドでプレーしている。ひとりの選手が、国代表に選ばれると、二つの所属チームを持つことになる。名選手は「金の成る木」、その生み出す「金」を誰が手にするのか、基本的にどこでも「クラブチーム・リーグ」対「代表チーム・各国協会・UEFAなどの地域協会・FIFA」という対立構造が生じている。この調整措置として、サッカーの場合は、FIFAが「国際マッチウィーク」を設定して、その期間は、各選手は代表チームを優先することが義務付けられている。
 
これに比較して、ラグビーは、㈰サッカーほど「金」を生まない ㈪プロリーグとして商業的に成立しているのは、少数(ENGFRAのみ)である(サッカーは ほぼすべての国にプロリーグが存在・成立している) ㈫プロ化後の歴史が浅い などもあり これまでのところ カレンダーはサッカーほど整備されていない。(組織論として興味深いのは、野球。 国内でも世界でも、競技統括機関が整備されていないと指摘されている(国内の統括機関は存在せず プロ野球機構と他の組織が並立しているだけである。来春も開催予定のWBCが将来的にどうなるのかも興味深い。そもそも、「大谷選手」が生み出すものを誰が享受するのか、という問題でもある。)
 
先週末 オータム・ネーションズシリーズ2022(以下「ANS」)がはじまった。2019以降、毎年進化している。
ANS1週、今秋AUS代表に復帰するスケルトンはフランスリーグ:ラロシェルの試合にフル出場していた。また、SCOの正スタンドオフ・ラッセルは、フランスリーグ:ラシン92の試合にフル出場していた。これは、WRの定めた「国際マッチ月間」前で、所属クラブの試合が優先されているためである。(ラッセルは 今回のANCに召集されていないらしい)
 
WRのホームページを見ると、1029日行われたJPN/NZは「2022 Mens International
SCO/AUSは「Autumn Nations Series 2022」に分類されている。
 
ANSのホームページでは「The 2022 ANS will take place over five thrilling rounds from Saturday 29 October to Saturday 26 November! The Autumn Internationals have long been among the most anticipated matches of the year for casual fans and die-hard supporters alike, with Autumn Nations Cup(2020) and the ANS(2021) taking the competition to the next level in recent seasons!」と解説されている。ANSの「胴元」は、サッカー界のUEFAに対応する欧州ラグビー協会ではなく、六か国機構。しっかり old boys だけで「金」をせしめようとしている風に見える。このホームページには各試合のスタッツがかなり詳細に掲載されているが、当然のことながら、JPN/NZ戦は掲載されていない。
ウィキペディア英語版:2022 end-of-year rugby union internationalsという項目の中で「For marketing purposes」と明快な解説がある。「バラ」の各試合よりも「束」になった試合群の方がマーケティング価値が高い。こういうパッケージ販売によって、WOWOWが全試合中継するということも生じているのだろう。商業主義が観客・視聴者を増やし、世の中を動かし、それによって裨益する者も増加する。Win-Winであれば喜ばしい。問題なのは、こうした収益が誰にどのように還元されるのかなのだろう。
2023W杯以降、ANSがどう発展するのか、興味深い。 
 
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ANS-R1 SCO15-16AUSを見ていての雑感
* レフリー・アシスタントレフリー2名・TMOの計4名、全員イングランド協会所属。これは以前にも触れたように、サッカー的な構成。日常的な関係性もあってレフリー団としてのまとまりという点で優れている。とはいえ、4人セットを出せる協会は、現時点では、ほかにAUSぐらいしか思い浮かばない。それにしても、いつの間にか、ENGがレフリーの最大供給協会になっている。
* その4人組、かなりのホームタウンデシジョン、まぁそんなものなのかもしれない。ただ、原因・動機が「ホームタウン」だからなのか「お仲間(=欧州六か国)のチーム」だからなのか気になっている。そして、WRがどう評価しているのか。
* SCOの相手ゴール前でのマイボールラインアウト、前後半1回ずつ、バックス2名(大柄の1112)もラインアウトに並ばせている。同じことを、ラグビーチャンピオンシップでRSAも何回か試みていた。RSASCOも、いずれも得点に結びつかなかった。ただ、可能性・期待感は大きい。他の国がどう真似するのか? JPNにとっては、どう守るのか、ということも難しそうだ。はてさて、W杯本番でどうなっているのやら。
* AUSのキックオフは、数シーズン前から、ほぼ常に中央に蹴っている。将棋の初手が「7六」ないしは「2六」であるように、ほぼすべてのチームが右か左に蹴るのに、なぜかAUSは「5六」を初手に選んでいる気がする。この技を極めるとどうなるのだろうか
* 78AUSPSCOPGを狙うも外す。ラストワンプレーのAUSのドロップアウト、どこに蹴るのかと思っていたら、リザーブから出場のホワイトが低い弾丸性のドロップキックを相手選手の間に蹴りバウンドさせてタッチに出しノーサイド。絶妙なプレー 感心した。
* SCO20番:ジャック・デンプシーが後半出場した。彼は2019W杯ではAUSのスコッドで2試合に出場していた。2023W杯では、フィジー・サモア・トンガだけでなく、他の国でもこうした補強がなされそうだ。「選手資格」、おそらく現在のものは「暫定版」で将来どう変わっていくのか、気になっている。それにしても平尾ジャパン、時代を先取りしていたということなのだろうか…
 
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現在、ENGRugby LeagueW杯が開催されている(1954年に始まり、今回は第16回)。115日(土)準々決勝AUS/レバノン戦が予定されている。今週末、ANSENGと対戦するARGHC:チェイカは、13人制ラグビー:レバノン代表のHCも務めている(チェイカの両親は、1950年代、レバノンからAUSに移民している。チェイカはAUSとレバノンの二重国籍)。どうやら、15人制の方(=ARG)を優先しているようだが…
 
令和4115

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