2022年10月8日土曜日

岡島レポート・2019 W杯・備忘録 149

                                                2019 W杯・備忘録 149

〜  勝てそうで勝てない 〜
 
もどかしい試合、惜しい試合、いろいろな感想があろうし、いろいろな視点で見えてくるものがある。101日のJPNXV/AUS-A1戦は、そんな試合だった。
勝てなかったのは、普遍の真理である「点を取られ過ぎた&点を取れなかった」こと。
 
試合が大きく動いたのは 後半開始から60分までの20分間。ここがこの試合の「勝負所」だった。ここで取り切り+守り切れば勝てていた!?
この間に5トライ・1PG34点(試合全体の総得点56点の61%)が挙げられている。
備忘録・140「トライを分類する」で書いたとおり、この試合のトライを分類してみると次のようになる。
 
トライがどのような状況で生まれたのか、次の各項目で見る。
「分」:ゲーム開始時からの時間
「人数」:+は相手チームのカードでのピッチ外の人数、−は味方の人数
P」:起点となるリスタートを導いたペナルティの有無
「起点」:大文字はJPNボール 小文字はAUSボールでのリスタート
「位置」:JPNAUSゴールラインからの距離(m)
PH」:トライに至るフェーズ数
AD」:トライまでの間に出されたP・アドバンテージの数
KR」:キックに起因するボール保持の変更回数
TO」:ジャッカル・ノックオンなどによるボール保持の変更回数
「番号」:トライした選手の番号
 
 
人数
P
起点
位置
PH
AD
KR
TO
番号
J-1
44
±0
-
S
A27
  0
-
  0
  0
11
A-1
48
±0
-
l
J30
10
-
  0
  0
14
J-2
54
±0
-
k
C
  3
-
  0
  0
22
A-2
57
±0
-
k
C
 8
-
  1
  0
20
A-3
60
±0
l
A40
  0
-
  0
  0
23
A-4
72
±0
l
J41
  3
-
  1
  1
23
 
備忘録・140NZ/IRE三連戦が対象)と比較すると、㈰人数の増減がない(=カードが出ていない) ㈪「AD」がない(=何が何でも止めてやる!ことがない…) ㈫ウィングの選手のトライが6分の5 というようなことに気づく。ある意味、IPNXV/AUS-A戦、「順法精神」に富んでいると言えるし、激しさが不足しているように映る。
 
さて、「勝負所」の20分間、これまでも書いてきた「KSLPFD図」で見てみると6行。この間のセットプレーは、K(キックオフ)6回、S(スクラム)3回、L(ラインアウト)3回、P(ペナルティ)3回、F(フリーキック)2回。
 
k S-F-S-p-L S T
k l tg
K p-PG
k T
k tg
K P-l tg
 
キックオフの6回(JPN2回 AUS4回)のうち2回は直接トライに至っている。それ以外にも「P」を挟んで得点にとか、あまり他の試合では見られないことである。通例、キックオフは ㈰蹴る側が相手陣10m後方に蹴り(=ボール支配権を相手に渡し) ㈪蹴られた側が㈪-1キャッチし ㈪-2ボールを支配し ㈪-3 如何にして陣地を挽回するのか という流れになり、どこかの時点で笛が吹かれ、次のリスタートから再開される。
k」(=AUSが蹴ったもの)4回のうち、最初の3回は右22mライン付近に蹴り、JPN5番コーネルセンがキャッチに入るも、2回はキャッチできず、1回目はタッチに出て・AUSラインアウトからトライへ、2回目は「運よく(≒たまたま)」JPNのトライになっている。どうも安定感に欠ける。一方、「K」(=JPNが蹴ったもの)は毎回違うところに蹴るなど工夫されている。三連戦となると、AUS-Aが、次戦以降、どう対応するのか興味深い。
 
セットプレーという点では、スクラム・ラインアウト、スタッツ的には遜色ないようにも見えるが、どうなのだろうか。(興味のある方は(参考2)をご覧ください。)
 
気になったのは、JPNXV先発15人のうち8人がカタカナ名。しかも、リーチ、フィフィタの2人は高校から日本に住んでいるが他の6人は成人してからの来日。だからどうなんだ?ということかもしれない。しかし、気になることも否定できない。
 
この試合のレフリー、どの選手ともあまり話していなかった。そうではあるが、JPNXVの坂手主将、どこかでコミュケーションできていたのか、これも気になった。
 
負けたのは、「勝負所」で競り負けたからなのか、その後のラスト20分で得点できず・失点したからなのか。敗戦を「点を取られ過ぎた」と捉えてディフェンスに注力するのか、「点を取れなかった」と捉えてアタックを準備するのか、次戦以降、どう戦うのか見物である。
 
 
( 参考1 )
2022-10-1 JPNXV-AUSA
「分」は得点時間
大文字はJPNXV 小文字はAUSSのボール支配
K:キックオフ
S:スクラム
L:ラインアウト
P:ペナルティ (PG*PGを狙って外したもの)
F:フリーキック
D:ドロップアウト (D*はゴールライン・ドロップアウト)
- :関連するリスタート
 
 
得点
1
4
17
23
37
K p-PG
k P-l P-pg
K L P-l S S l l l P-l P-pg
K p-L p-PG
k l-S l L s-P-l P-l S l-S L p-PG
k s-f p
3- 0
3- 3
3- 6
6- 6
9- 6
44
48
52
54
57
60
72
k S-F-S-p-L S T
k l tg
K p-PG
k T
k tg
K P-l tg
K p-PG* d P-l L-p-L s-P-l P-l tg
K s p-L s L s-f
14- 6
14-13
17-13
22-13
22-20
22-27
22-34
 
 
( 参考2 )
 
J-sportの試合中継後のスタッツでは、スクラム:JPNXV6/6 AUS-A4/4となっていた。
手元の記録では、
JPNXVのスクラム機会は、8回。うち、相手の反則でのフリーキック1+相手のコラプシング(P1回。
AUS-Aのスクラム機会は、6回。うち、相手の反則でのフリーキック2+相手のコラプシング(P2回。
テレビの映像で見た限り、スクラムにおけるフッカーの「ブレーキフット」出来ていなかったように見えた。どうなのだろうか?
 
ラインアウトに関しては、JPNXV8/9 AUS-A11/15
手元の記録では、
JPNXVのスロー機会・9回、クリーンキャッチ・5回、かろうじてマイボール化・2回、相手スチール・1回、相手P1回。
AUS-Aのスロー機会・16回、クリーンキャッチ・10回、クイックスロー・1回、かろうじてマイボール化・2回、相手スチール・1回、ノットストレート・2回。
AUS-A16回のうち、前半11回(うち、PKに由来するもの・5回、JPN22m内からタッチに蹴り出したもの・5回)、後半5回(うち、PK由来・4回、JPN22m内から・0回)であった。後半、JPN22m内からも蹴り出さなかったのは「たまたま」なのだろうか?
テレビの映像で見た限り、何度か、JPNXVのスローがまっすぐ入っていなかったように見られたが、笛は吹かれなかった。
次戦、日本人のレフリーになって、どんな笛が吹かれるのだろうか。
 
令和4108

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