2021年3月21日日曜日

岡島レポート・2019 W杯・備忘録 69

2019 W杯・備忘録 69

~ 勝ち点 ~

  「勝ち点」、手元にある広辞苑で見てみると、第5版(1998年)には掲載がなく、第6版(2008年)から出現する。たしかに、国内でメジャーな大相撲やプロ野球には、勝ち点などという野暮(?)なものは存在しない。多くの人が日常的に「勝ち点」を耳にするようになったのは、Jリーグがはじまり、2002サッカーW杯の時であった気がする。

7版(2018年)では「スポーツで、リーグ戦やシーズンの順位を決めるために、勝敗・点差・勝ち方などによって付けるポイント。」と解説されている。広辞苑では、「かちてん」を「勝点」ではなく「勝ち点」としている。

  ラグビーW杯予選プールでは第1回大会から「勝ち点」による順位付けが行われている。付与される点数は、次のように変化してきている。

 

  勝

 引き分け

  負

ボーナスP

1回(1987

  2

  1

  0

  無

2回(1991

  ~

4回(1999

 

  3

 

  2

 

  1

 

  無

5回(2003

  ~

9回(2019

 

  4

 

  2

 

  0

 

  有

  第2回から第4回までは、負けても「勝ち点1」が与えられていた。

JPNは、第2回大会ではジンバブエに勝利して12敗で勝ち点・5、第3回大会は3敗で勝ち点・3、第4回は3敗で勝ち点・3を得ている(?)。

  第5回大会以降、予選プールでの満点は20点(各試合4トライ以上で勝利し勝ち点:5を獲得する)となった。満点で決勝ラウンドに進出したのは、第5回大会:FRANZ、第6回大会:AUSNZ、第7回大会:NZ5チーム。

 今大会の予選1位通過は、JPN19点、NZ16点、ENG17点、WAL19点。

 ちなみに、第5回大会から今大会までの予選での勝ち点総計の満点は100点。

NZは、95点(失点(?)は、前回大会のARG戦(26-16)・今大会のRSA戦(23-13)での4トライ以下の勝利2試合と今大会の不戦・引き分け扱いのITA戦)

80点台が、AUS86RSA83

70点台が、ENG79FRA75IRE74WAL73

60点台が、ARG69SCO64

JPN032121936となっている。

  現在の勝ち点では、引き分けの場合、勝利の半分の2点が付与される。ラグビー的感覚からすれば、まぁそんなものだろうな、と思われる。一方、勝ち点の本家(?)サッカーでは、勝利:3、引き分け:1が定着している。勝利に対するウェイト付けとしては、こちらの方が適切な気がしないでもない。

     1回大会から第8回大会までの予選プールの試合数は262試合。このうち、引き分けの試合数は3試合。第1回大会のFRA/SCO、第6回大会・第7回大会のJPN/CAN

サッカーには引き分け狙いの戦術がありうるのだろうが、ラグビーでは専守防衛では引き分けにも至らない。そういう点からすれば、ボーナスポイントで「色をつける」現行方式はラグビーの特性にマッチしているのだろう。

  今大会は、実際に戦われて引き分けになった試合はなかったが、台風による「不戦」での引き分け扱いの試合が3試合あった。前回大会までは、さいわいにも不戦・引き分け扱い試合はなかった。

 もちろん、不戦はないに越したことはない。今大会に関して言えば、ITAパリセ主将の的確な指摘があったにもかかわらず、大きな問題とならずに過ぎていった。しかし、まさにパリセが指摘した通り、仮にM4 NZ/RSANZが負けていたならば、NZ211不戦=ITA211不戦となっていた。NZITAともにCANNAMからボーナスポイント付きの勝利を得ており、勝ち点で並んでしまう。こうなっていたらどうしていたのであろうか。仮定の物語として様々な展開が考えられる。

想定外のことは起こりうる→だから、PlanBを準備しておく(パリセの指摘)。これはこれで重要な指摘だ。

それでも不戦の試合があった時に勝ち点をどうするのか? 次回大会でどのような扱いになっているのだろうか。現行方式では、不戦=「引き分け」みなしで、両チームに勝ち点:2が付与される。これは妥当なのだろうか。

勝ち点の本質が予選プールの順位付けにあるのであれば、総勝ち点で順位付けするのではなく、1試合当たりの勝ち点で順位付けする(すなわち、不戦の試合はカウントしない)のはどうであろうか。今大会のプールBは、NZ:3試合:4.67、RSA:4試合:3.75ITA3試合:3.33NAM3試合:0CAN3試合:0の順位になる。

  NAMは、6大会連続出場・無勝利。初出場の第4回大会は3敗で勝ち点:3、以後の大会も負け続け、第8回大会GEO17-16で敗れ、初めて、ボーナスポイント(勝ち点):1を自力で獲得している。今大会CAN戦が不戦・引き分け扱いで勝ち点:2を得ているが、これって嬉しいのだろうか… 次回大会でのNAMの初勝利は見られるのだろうか。それともアフリカ予選を他のチームが勝ちあがってくるのだろうか。

  直近5大会で見ると、JPNが無勝利・最下位・5位から1位に駆け上がったのに比べ、ITAは常に3位と安定している。ITAは、第1回~第3回も予選プールで3位。第4回大会だけが予選プール4チーム中4位に沈んでいる。

栄枯盛衰は世の常ながら、いつの日にか「ITAの時代」がやってくるのだろうか。

                                      令和3320 

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