2024年5月25日土曜日

岡島レポート・2019 W杯・備忘録 225

リーグワンも 大相撲も 佳境に
暑い日に 熱くなる 戦いが…
2019 W杯・備忘録 225
〜 M46 RSA/ENG 1 〜
 
雨のW杯準決勝 フランス贔屓が思い出すのは 1995RSA/FRA と 2003ENG/FRA いずれも 苦杯を喫する。どちらも 好天続きの大会に 突然の雨の試合 2003は 「(雨の日の)プランB」の欠如が 指摘され続けている。
2023 好天・高温の日々が 準決勝になって 突然 雨天・低温に。さて 両チームの「プランB」は? とも 思ったが ENGは 今大会 「原点回帰」 変えようがない。 では RSAの「プランB」は? と 期待していたのだが 予想に反して 準々決勝と同じ23人が並ぶ。こりゃ違うだろ と 感じながら キックオフを待っていた。
 
(以下 RSA:大文字 ENG:小文字+○数字)
 
k:㉂〜 ㈺がノックオン・4・R・95R9BK〜 ㈾・r・㈷→㈬・r・㈷:BK
㈾タップ(10に競り勝つ⇒マイボール化)→㉀→㈯→㈰・r(5のオフサイド or 7のオフフィート)
 
Ppg
 
2分 RSA 0-3 ENG
 
K10〜 ㈬・r・㈷:BK〜 ㉃が競り勝ち・タップして ボールはタッチを割る
 
L3/4)・㈬が5に競り勝ち・スチール→㈷→㈰・r・㈷→㉂:HP〜 ㈱が11に競り勝つもノックオン
 
S・両チーム「セット」コール前に組み・組み直し・ボールイン後動かず「use it」のコール・8R910HP〜 ㈾・r・㈷→㈭・r・㈷:BK〜 15と㉃が競り合い・ENGボール・r・㈷:BK〜 ワンバウンドでタッチへ
 
L3/4)・ノットストレート(微妙な判定)
 
s・組んで落ちて組み直し・㉀・r・㈷→㈮・r・㈷→㈭・r6のジャッカルがラック成立後と判定されP
 
Ppg
 
9分 RSA 0-6 ENG
 
K10〜 ㈮・r・㈷:TK
 
L2/5)・4・モール・912R9R107R9BK〜 ㈾・r・㈷→㈰・r・㈷:TK
 
L3/5)・5・モール・5m進み・崩れて・ENGボールに・r・㈷→㉂:LK〜(㈮の動き出しが早くオフサイドのp
 
pPK10TK
 
LRSA 14857312139と 9人並ぶ 2/9)・4・モール 回転して・崩れて・両チーム つかみ合い
レフリー 映像を見ずに 両チームキャプテンを呼び・㈹にだけp
 
p=PK10TK
 
L2/7)・5・モール・崩れて・R5 ノックオン
 
s 1の膝が地面についてP
 
Ppk・㉂:TK
 
l(3/4)・㈮・r・㈷:BK〜 14R97R910HP〜 ㈷・r・㉂→㈯・r・㈷:BK〜 15R91R910HP〜 ㉃・r(㈷のシーリングのp
 
㉂がボールを渡さず・ポイントが10m移動
 
p=PG10
 
20分 RSA 3-6 ENG
 
前半20分まで 予想通りの雨の下でのキッキングゲーム。
キック数は ENG11(うち 9番・8 10番・3
      RSA 4(うち 9番・2 10番・2
ENGのキックのうち 開始から3回は ENGの選手がハイボールに先に触っている(付け加えると 開始のキックオフ ENGボールで 最初に触ったのはENG13番 ただし このキックオフ スローで見ると キッカーが蹴る前に 2人がセンターラインを越えていて 厳密取れば 「ポイントオーバー」=RSAのセンタースクラムで再開だった と 思われる。そうであれば まったく違った試合展開になっていたであろう)。
 
ラインアウト数は ENG1
         RSA:6(はじめのは スチールされ 二度目のは ノットストレート 36回目は マイボール⇒モールを組むも ENGが 巧妙に崩すなどして 無力化)
 
スクラム数は ENG22度目のスクラムは RSA1番が膝をついてP
       RSA1
 
ペナルティ数は ENG3
        RSA3
 
ENG キッキングゲームで優位に立ち RSAの得意とするラインアウト(特に モールへの対応)・スクラムでも互角以上 という これ以上望めない展開に。
ターニングポイントになったのが 19ENG3度目のpが吹かれた直後 ファレルがボールを相手に渡さなかったこと。これによって 「10m」ポイントがENGゴールに近づけられた。たかが「10m」 されど「10m」。この「10m」が 勝敗を分けたと言っても過言ではない。ファレルが ボールを(素直に)渡していれば ポイントは自陣であり・RSAは おそらく PKをタッチに蹴りだしていたであろう(=まったく 違った試合展開になっていた)。この「10m」によって ENG陣に入り・PGを狙い・決め RSAは息を吹き返した。
と考えると この「10m」の基になったファレルの「つまらない」プレーが気になる。世界最高級のクレバーなプレーヤーが なぜ?
イングランドの最初のP キッカーより前で走り出したとして 「6番」がペナライズされたが 見返してみても 「6番」は走り出していない しかし 「8番」は走り出しおり 単純な ノミネイト・ミスの可能性大。このPから・RSAはタッチに蹴りだし・RSAラインアウトからモール・崩れて・両チームのつかみ合い なぜか 喧嘩両成敗ではなく ENG12番だけがペナライズ(レフリーは 映像も見ず 一方的に 宣告 不思議なシーンであった) という 不幸な判定が続き(不幸な判定は RSAにも下されている) レフリーに対する不信感が高まっていた!?
この大会 ENGとレフリー・オキーフ(NZ)のマッチアップは 初めて。大会初戦(ARG)と準々決勝(FIJ)は 北半球で最も「癖のある」レイナル(FRA)に適合して 勝利してきた(特に ENG/FIJは 別のレフリーだったら まったく違った試合展開になっていた と 痛感し続けている)だけに この試合が 南半球のオキーフの下で行われた「巡り合わせ」めいたものを感じてしまう。
ENG RSAのスカウティングは完璧だったが オキーフのスカウティングが甘かった…
 
令和6525

2024年5月18日土曜日

岡島レポート・2019 W杯・備忘録 224

夏に向かって 一直線
2019 W杯・備忘録 224
〜 23人 4 〜
 
ディフェンスを数値化するのは 簡単なようで 難しい。もちろん 失点数がすべてと言えば すべてなのだが… 得点するのも チームプレーだが 守るのは もっとチームプレー・各選手の連動が必要だ。
数値として WRホームページに掲載されているものから 拾い出してみる。
誰が タックルしたのか?
 
(表-1 背番号別タックル数)
 
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
N
9
14
13
15
18
9
22
15
4
10
11
15
13
15
7
I
12
10
10
17
12
15
16
13
2
11
6
6
2
-
2
R
6
10
12
10
13
6
9
7
9
5
7
10
14
2
3
F
1
6
1
4
8
7
9
8
6
1
4
5
3
6
1
 
 
16
17
18
19
20
21
22
23
N
5
5
5
9
6
-
-
6
I
3
1
6
2
5
2
-
2
R
6
6
1
4
6
5
4
3
F
1
6
3
2
7
3
-
-
 
最高値 NZ7番・ケインの「22」 勝利の立役者。RSA内で一番多いのが 13番・クリエル FRAは彼のラッシュに負けたと言っても過言ではない。
 
では ポジション別に集計すると どうなるか?
(表-2 ポジション別タックル数)
 
 NZ
 IRE
 RSA
 FRA
一列目
  51 (22.6%)
  42 (27.1%)
  35 (22.2%)
  18 (19.6%)
二列目
  42 (18.6%)
  31 (20.0%)
  27 (17.1%)
  14 (15.2%)
三列目
  52 (23.0%)
  49 (31.6%)
  34 (21.5%)
  34 (37.0%)
ハーフ団
  14 ( 6.2%)
  15 ( 9.7%)
  23 (14.6%)
   7 ( 7.6%)
両センター
  34 (15.0%)
   8 ( 5.2%)
  24 (15.2%)
   8 ( 8.7%)
バック3
  33 (14.6%)
  10 ( 6.5%)
  15 ( 9.5%)
  11 (12.0%)
  計
226
155
158
  92
FWBK別に大別すると FWの割合が
NZ64.2%  IRE78.7%  RSA60.8%  FRA71.8
微妙な違いでしかないような 深遠な真理が滲み出てきているような…
勝者は FWBK 満遍なくタックルしてる!?
 
ちなみに タックル成功率は 
NZ82%   IRE83%   RSA71%   FRA81
 
では 誰が ミスタックルしたのか?
(表-3 背番号別ミスタックル数)
 
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
N
2
-
2
2
1
2
2
2
3
2
3
2
5
1
-
I
2
2
1
-
-
2
3
-
1
-
1
1
3
2
1
R
3
3
2
3
-
1
5
1
1
5
1
1
3
-
2
F
-
1
1
-
-
2
1
-
1
-
1
-
1
2
1
 
 
16
17
18
19
20
21
22
23
N
-
-
-
-
-
-
-
1
I
1
-
-
2
-
-
-
-
R
1
-
1
-
1
5
4
-
F
-
-
-
1
-
-
-
-
 
ポジション別に集計すると 
(表-4 ポジション別ミスタックル数)
 
 NZ
 IRE
 RSA
 FRA
一列目
   4 (13.3%)
   6 (27.3%)
  10 (23.3%)
   2 (16.7%)
二列目
   3 (10.0%)
   2 ( 9.1%)
   3 ( 7.0%)
   1 ( 8.3%)
三列目
   6 (20.0%)
   5 (22.7%)
   8 (18.6%)
   3 (25.0%)
ハーフ団
   5 (16.7%)
   1 ( 4.5%)
  15 (34.9%)
   1 ( 8.3%)
両センター
   8 (26.7%)
   4 (18.2%)
   4 ( 9.3%)
   1 ( 8.3%)
バック3
   4 (13.3%)
   4 (18.2%)
   3 ( 7.0%)
   4 (33.3%)
  計
  30
  22
  43
  12
 
おそらく「数値」は ある基準をもとにして 満たしていた時に「1」とカウントされ 満たしていないときに「0」とカウントされる。そこには 質の介在する余地がない。
RSAのミスタックルの多さ=タックル成功率の低さ は 彼らのタックルの質を無視した数値だと 痛感する。RSA/FRA RSAの「飛び込む」タックルに FRAは 悩まされ続けた。特に 9番・デュポンに対しては 執拗に… その表れが RSA21番・デクラークのミスタックル「5」。ここにも コーチ陣からの明確な指示が潜んでいる気がしてならない。どうすれば・どうしなければ FRAに勝ちきることはできない という 考察の結晶が いたるところで見て取れる。対したFRA 無策では もちろんなかったが 欠けていたものが 随所に 見えてくる。
 
かつて Midolを読んでいたら フランス・トップリーグの最高給取りは 3番だと書いてあって(真偽のほどは わかりません…) ビックリし・ぼんやり考え続けて・なるほどな と 納得した気になった。3番が最高給取り って ラグビーらしくていいな とも 感じている。スクラムの要・ラインアウトのリフター・モールの推進力・ブレイクダウン いずれも目立たない≒数値化しにくい でも 勝敗を大きく左右する。RSA3番 個人スタッツで 唸らせるようなものは出てこないが やはり すごい。
そして 23人で戦う時代 3番と同等の18番が不可欠になっている。この点で FRAは 劣後していた。
 

令和6518