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2025年5月24日土曜日

岡島レポート・ 2019 W杯・備忘録 277

広辞苑によれば  運動会は  秋の季語    最近  この時期に運動会をすることが増えてきているような 季語の季節間移動  なんていうのも あるのですかね・・・・・

                                                        2019 W杯・備忘録 277

           ~ 2025 六か国対抗 10 ~

 

先週末のリーグワン・プレーオフの試合 ヤマハが相手陣22m内での展開中・ゴールポスト正面付近で モールを組もうとした。かつてRSAが試みたのを見た記憶があるが いずれも「未遂」に終わっている。モールを意図的に組む! 難しい課題だ。

 

エレロ著『ラグビー愛好辞典』「モール」の項は 次のような書き出しで始まる。

『スクラムが ラグビーの母ならば モールは 父だ! ラグビー校で生まれた新たなスポーツ エナジーに溢れ・協調精神に満ちた生徒200人が組んだスクラムこそ まさにモールだった。なんという加入儀礼。モールは 我々のアブラハム、始原だ。』(p280

 

六か国対抗・チームスタッツ Break Down中の Mauls Wonについて取り上げてみる。

 

(表-1 Mauls Won2025

 

FRA

ENG

IRE

SCO

ITA

WAL

1試合当

FRA

 *

    4

    8

    9

    7

    9

    7.4

ENG

    3

 *

    3

    4

    7

    4

    4.2

IRE

    4

    3

 *

    1

    4

    2

    2.8

SCO

    5

    4

    3

 *

    5

    6

    4.6

ITA

    3

    1

    2

    3

 *

    6

    3

WAL

    2

    4

    5

    3

    6

 *

    4

1試合当

    3.4

    3.2

    4.2

    4

    5.8

    5.4

    4.3

15試合中 モールの回数が多いチームが勝利した試合が 9試合。同数の試合が 3試合。少ないチームが勝利したのが 3試合。

FRAが 全5試合 相手チームよりも 多い。一方で IREは 意外と(?) 少ない。

では IREがグランドスラムを達成した 2023は どうだったのか?

(表-2 Mauls Won2023

 

FRA

ENG

IRE

SCO

ITA

WAL

1試合当

FRA

 *

    2

    4

    3

    6

    2

    3.4

ENG

    2

 *

    5

    5

    9

    0

    4.2

IRE

    7

    7

 *

    8

    9

   11

    8.4

SCO

   10

    1

    4

 *

    3

   11

    5.8

ITA

    5

    1

    3

    6

 *

    7

    4.4

WAL

    4

    1

    3

    7

    6

 *

    4.2

1試合当

    5.6

    2.4

    3.8

    5.8

    6.6

    6.2

    5.1

モールの回数が多いチームが勝利した試合が 8試合。同数の試合が 1試合。少ないチームが勝利したのが 6試合。

IREは 全5試合 相手よりもモール数が多く・全勝した。

興味深い数値だ。

IREが 「ボールを保持し・前進し・ラックを連取しながら・相手チームのPを誘い・PKを相手トライライン手前に蹴りだし・そのマイボールラインアウトからモールを組み トライを取る」シーンを何度も見てきた気がする。そして WRランキングNo.1に登り詰めた が W杯では ベスト8で 敗退した。何かが欠けている その何かを コーチ陣がどこに求めているのか 2025年は W杯の中間年 各チーム 「普請中」のこの時期 モール数の変化は 一つの指標になりそうだ。

 

「今は昔」五か国対抗時 チビ揃いのFRA ラインアウトは からっきし ダメだった。大男のアングロサクソンに いつも痛い目にあってきた。それが リフティングが導入されて 少し 風向きが変わった。そして ガイジンの移入。FRA2列目も RSA出身者が のさばるようになってきた。2019W杯のルルー 2023W杯のウィレムセなど。2025年には サモア系の巨漢:メアフー(彼は 出生・血縁関係から サモア・NZ・オーストラリア代表には 瞬時になれたのだが 5年在住条件を満たして FRA代表を選んでいる)が 5番を背負うようになっている。ラインアウト・モールに関していえば こうしたことが 大きく作用して FRAは ラインアウト・モールを 苦手から得意手に変えている。

このところ モールを目にするのは ラインアウト直後だけの感がある。が かつては そうでもなかった(というか リフティング導入以前 ラインアウト直後のモールって あまりなかった)ような気もする。

エレロ「モール」の項は こう続く。

『競技規則によれば ボールキャリアーが相手に捕まえられ・味方選手が助勢のために密着した時点で モールがはじまる。モールを構成するためには 3人の選手が必要である が 上限の人数はない。15人対15人のモールも想像しうる。

モールの目的は明確だ:相手を凌駕するため 密着し 前進する。固まって、前へ!

((中略)モールに対する 否定的な評価もある)

だが ラグビー界は モールに 限りない敬意を払う。モールは ラグビーの原点であり 疑いが生じた時に立ち返るべき本源だ。… スピード感に欠け・垢抜けしないが 愛すべき未完のセットプレー それが モールだ』(p282

 

戦術・戦略が 均一化しつつある 現代ラグビー。違いを何に求めるのか 各チームが 模索しているのだろう。次回のW杯 どんなモールが見られるのか 楽しみにしていたい。

令和7524

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