広辞苑によれば 運動会は 秋の季語 最近 この時期に運動会をすることが増えてきているような 季語の季節間移動 なんていうのも あるのですかね・・・・・
2019 W杯・備忘録 277
~ 2025 六か国対抗 10 ~
先週末のリーグワン・プレーオフの試合 ヤマハが相手陣22m内での展開中・ゴールポスト正面付近で モールを組もうとした。かつてRSAが試みたのを見た記憶があるが いずれも「未遂」に終わっている。モールを意図的に組む! 難しい課題だ。
エレロ著『ラグビー愛好辞典』「モール」の項は 次のような書き出しで始まる。
『スクラムが ラグビーの母ならば モールは 父だ! ラグビー校で生まれた新たなスポーツ エナジーに溢れ・協調精神に満ちた生徒200人が組んだスクラムこそ まさにモールだった。なんという加入儀礼。モールは 我々のアブラハム、始原だ。』(p280)
六か国対抗・チームスタッツ Break Down中の Mauls Wonについて取り上げてみる。
(表-1 Mauls Won:2025)
| FRA | ENG | IRE | SCO | ITA | WAL | 1試合当 |
FRA | * | 4 | 8 | 9 | 7 | 9 | 7.4 |
ENG | 3 | * | 3 | 4 | 7 | 4 | 4.2 |
IRE | 4 | 3 | * | 1 | 4 | 2 | 2.8 |
SCO | 5 | 4 | 3 | * | 5 | 6 | 4.6 |
ITA | 3 | 1 | 2 | 3 | * | 6 | 3 |
WAL | 2 | 4 | 5 | 3 | 6 | * | 4 |
1試合当 | 3.4 | 3.2 | 4.2 | 4 | 5.8 | 5.4 | 4.3 |
全15試合中 モールの回数が多いチームが勝利した試合が 9試合。同数の試合が 3試合。少ないチームが勝利したのが 3試合。
FRAが 全5試合 相手チームよりも 多い。一方で IREは 意外と(?) 少ない。
では IREがグランドスラムを達成した 2023は どうだったのか?
(表-2 Mauls Won:2023)
| FRA | ENG | IRE | SCO | ITA | WAL | 1試合当 |
FRA | * | 2 | 4 | 3 | 6 | 2 | 3.4 |
ENG | 2 | * | 5 | 5 | 9 | 0 | 4.2 |
IRE | 7 | 7 | * | 8 | 9 | 11 | 8.4 |
SCO | 10 | 1 | 4 | * | 3 | 11 | 5.8 |
ITA | 5 | 1 | 3 | 6 | * | 7 | 4.4 |
WAL | 4 | 1 | 3 | 7 | 6 | * | 4.2 |
1試合当 | 5.6 | 2.4 | 3.8 | 5.8 | 6.6 | 6.2 | 5.1 |
モールの回数が多いチームが勝利した試合が 8試合。同数の試合が 1試合。少ないチームが勝利したのが 6試合。
IREは 全5試合 相手よりもモール数が多く・全勝した。
興味深い数値だ。
IREが 「ボールを保持し・前進し・ラックを連取しながら・相手チームのPを誘い・PKを相手トライライン手前に蹴りだし・そのマイボールラインアウトからモールを組み トライを取る」シーンを何度も見てきた気がする。そして WRランキングNo.1に登り詰めた が W杯では ベスト8で 敗退した。何かが欠けている その何かを コーチ陣がどこに求めているのか 2025年は W杯の中間年 各チーム 「普請中」のこの時期 モール数の変化は 一つの指標になりそうだ。
「今は昔」五か国対抗時 チビ揃いのFRA ラインアウトは からっきし ダメだった。大男のアングロサクソンに いつも痛い目にあってきた。それが リフティングが導入されて 少し 風向きが変わった。そして ガイジンの移入。FRAの2列目も RSA出身者が のさばるようになってきた。2019W杯のルルー 2023W杯のウィレムセなど。2025年には サモア系の巨漢:メアフー(彼は 出生・血縁関係から サモア・NZ・オーストラリア代表には 瞬時になれたのだが 5年在住条件を満たして FRA代表を選んでいる)が 5番を背負うようになっている。ラインアウト・モールに関していえば こうしたことが 大きく作用して FRAは ラインアウト・モールを 苦手から得意手に変えている。
このところ モールを目にするのは ラインアウト直後だけの感がある。が かつては そうでもなかった(というか リフティング導入以前 ラインアウト直後のモールって あまりなかった)ような気もする。
エレロ「モール」の項は こう続く。
『競技規則によれば ボールキャリアーが相手に捕まえられ・味方選手が助勢のために密着した時点で モールがはじまる。モールを構成するためには 3人の選手が必要である が 上限の人数はない。15人対15人のモールも想像しうる。
モールの目的は明確だ:相手を凌駕するため 密着し 前進する。固まって、前へ!
((中略)モールに対する 否定的な評価もある)
だが ラグビー界は モールに 限りない敬意を払う。モールは ラグビーの原点であり 疑いが生じた時に立ち返るべき本源だ。… スピード感に欠け・垢抜けしないが 愛すべき未完のセットプレー それが モールだ』(p282)
戦術・戦略が 均一化しつつある 現代ラグビー。違いを何に求めるのか 各チームが 模索しているのだろう。次回のW杯 どんなモールが見られるのか 楽しみにしていたい。
令和7年5月24日
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