2022年4月9日土曜日

岡島レポート・2019 W杯・備忘録 123

                                          2019 W杯・備忘録 123

  WAL/FRA 
 
 2022六か国対抗第4WAL/FRA戦、珍しい試合だった。何が珍しいかというと、得点が少ない(13-9)。試合開始8分、10-3となった時点で、フランスの解説者は「両チームの打ち合いだ」と言っていた。それに反して、以後はロースコア。後半だけだと3-0。しかも、46分以降30分余、両チーム無得点。近年、見たことのない試合だった。
  グランドスラム達成後、F7:ジュロンシュは、Midolのインタビューで次のように話している。「(あなたから見て、今年の六か国対抗での山場は?)一番印象に残っている試合は、WAL戦だ。ひたすらディフェンスしまくった。WALはノートライ。ホーム・カーディフでそんなこと起こったことがなかった(注:13年ぶり)。13-9の勝利は、サポーターから見れば最良ではないのだろう。もちろん、それはわかってる。でも、あの試合は決定的なものだった。」
 
 試合は流動的、流れ・Momentumは時々刻々変化する。スタッツで見ると、前半と後半でまったく別の試合の観がある。
(前半)
 
ボールキャリー数
ランメーター
タックル数/ミス
ペナルティ
オフロード
ラインアウト
スクラム
FRA
   58
  369
40/1
    3
   10
  4/5
  2/3
WAL
   40
  281
67/11
    3
    2
  3/3
  3/4
(後半)
FRA
   37
  174
93/8
    5
    -
  8/8
  2/2
WAL
   69
  499
71/3
    6
    4
  6/6
  6/7
 
前半はFRAが攻め、後半はWALが攻める。まるで野球の先攻・後攻のように。FRAのオフロード、前半:10、後半:ゼロ。意図してこうなったのか、それとも、流れに漂ってしまったのか…
 
 トライは8FRA1本のみ。それは次のような流れでのもの。
・ F陣でのF8・ノックオン ⇒ Wスクラム ⇒ W9・ボール投入が遅れ、FFK ⇒ Fスクラムを選択
・ FスクラムからF9108・ラック・915・ロングキック・W10・ロングキック・F10・ロングキック・W15・ロングキック・F15ラン→112・ラック・1111012・ラック・91・ラック・94・ラック・9108・ラック・9101413157:トライ
 FRAボール・リスタートからではあるが、蹴り合い(フランス流には「ピンポン・ラグビー」)でボール支配権が行き来したのちのトライ。
 
 これに対して、WALは後半3回、FRAゴールラインに迫っている。いずれも、起点は、FRA陣深く入ったところからのWALボール・リスタート。
㈰ 48
・ センターライン付近でのFRAP(ノットロールアウェイ) ⇒ W・タッチキック ⇒ Fゴールライン5mWラインアウト
・ Wラインアウトをキャッチしてモール ⇒ Fゴールラインを越えるもヘルドアップ
・ Fのゴールライン・ドロップアウトで再開
㈪ 60
・ F22mの外でF12ノックオン ⇒ Wスクラム
・ WスクラムからW8・ラック・21→7→?・ラック・2110・キックパス・812・ノックオン(ゴール前5m、ノーマークで普通に取ればトライだった) ⇒ ノックオンしたボールがF9の胸に入りタッチキック
・ F30mWラインアウトで再開
㈫ 71
・ F陣でのFP(キック・オフサイド) ⇒ Fの蹴った地点でのスクラムか・オフサイドのあった地点でのPKの選択肢からWはスクラムを選ぶ
・ F22mでのWスクラム ⇒ 6フェーズ重ねたのちの展開でF10がインターセプト
・ F10がタックルされ・ラック・WP ⇒ F・タッチキック ⇒ F・ラインアウト
 
 どのシーンもトライで終わって不思議はなかった。近年のWAL、こういう流れでなんとなくトライを取ってきた。とすれば、FRAのディフェンス力を褒めるべきなのか、WALの攻撃力の低下を嘆くべきなのか。攻撃力を高めるのか、ディフェンス力を高めるのを優先するのか、永遠の課題である。
 トライ、リスタートからボールを回して・フェーズを重ねれば取れるものではない。では、どうすればいいのか? 面白い試みだと感じたのが、21分、WAL50:22F陣内でのW・ラインアウト、ボールを確保し・モールを作らずに出し、W21108が突っ込んでラック、F22m内のラックから出たボールをW21・ボックスキック=Fゴールライン前にハイパント W15・ノックオンでFスクラムに。二次元的思考から三次元的思考へ…
 実に興味深いプレー。堅守のFRA相手に22m内で右に左にボールを回してもなかなか前進できない。現に、後半の3回のトライ機会、結局、得点に結びついていない。FRAの弱点の一つがハイボール。だったら、フィフティ・フィフティのハイパントをゴール前に蹴って、ハイボールに強い選手(=W15)を落下点に走り込ませるのは、実に合理的な気がする。
 たしかに奇想天外なのかもしれない。邪道なのかもしれない。これでトライになっても称賛されないかもしれない。しかし、そういう感じ方の根底にある「常識」を打ち破ることこそ求められている気もする。
 2023W杯で、こういうプレーが見られるかどうか、気になっている。
 
 トライを取ることは素晴らしい! 人びとはトライを渇望している。 では、トライを取る方法論は、どのようなものが現実的なのだろうか。 この試合で見る限り、マイボール・リスタート(スクラムorラインアウト)から、練習通りにボールを回しても取り切れていない。 2019W杯では、相手ゴール前・マイボールラインアウトからのモールでのトライが一番確実だった気がしている。 これに関しては、ディフェンス側の守り方がかなり整理されてきて、簡単にはトライに結びつかなくなってきている気がしている。 その一因が、「インゴール・ヘルドアップ」の場合のディフェンス側ゴールライン・ドロップアウトでのリスタート、という試験ルールにある。従来であれば、攻撃側の5mスクラムでのリスタート=攻撃の継続だった。この試験ルールであれば、ディフェンス側はモールを作らせて、団子状態のままインゴール内に引きずり込むことで失点を防ぐ確率はかなり高いように思われる。現に、FRAはこれを実践して守り切った。
 この試験ルールとともに、「50:22」によって、試合内容は大きく変わってきている。この試合では、WAL2度「50:22」を決めている。W10・ビガ−、さすがとしか言いようがない。この二つの試験ルールの帰趨によって、これからの試合展開、変わっていくのだろう。
 4点差、紙一重の差なのだろう。しかし、勝ちは勝ち、負けは負けでしかない。この「差」をどう考えればいいのか、ある意味、ラグビー観めいたものに左右されるのだろう。
 
( 参考-1 )
2022-6-4 WAL/FRA経過表
二列目:FFRAの得点経過
三列目:WWALの得点経過
四列目:FPFRAP
五列目:WPWALP
Pのうち「R+」はマイボールラックでのP、「R-」は相手ボールラックでのP
G-」はPGを狙い外したもの。
 
前半
 
1
3
8
15
22
31
37
F
3
10
W
 
3
6
9
FP
 
F
 
R-
 
 
R-
WP
R-
 
 
 
S
R+
 
後半
 
43
45
47
52
56
57
64
66
73
75
F
 
13
G-
W
 
FP
 
 
R-
 
R-
O
 
F
 
 
WP
R+
O
 
F
 
 
R+
 
R-
R+
 
 
( 参考-2 )
2022-6-4 WAL/FRA KSLPFD
「分」は得点時間
大文字は勝者(FRA) 小文字は敗者(WAL)のボール支配
K:キックオフ
S:スクラム
L:ラインアウト(L*は、50:22
P:ペナルティ (PG*PGを狙って外したもの)
F:フリーキック
D:ドロップアウト (D*はゴールライン・ドロップアウト)
- :関連するリスタート
 
 
得点
2
4
8
16
38
K p=PG
k P=pg
K s-F-S TG
k L L S s P=pg
K L s l* S-p-L L f s L-F l S-f s p-L l* P=pg
K DG*
3- 0
3- 3
10- 3
10- 6
10- 9
46
k l S p-L p=PG
k P-l D* s p-L s P-l P-l S s l p-L DG* d P-l L s p-L p=PG* L f s
13- 9
 
 
平成449

2022年4月2日土曜日

岡島レポート・ 2019 W杯・備忘録 122

                                         2019 W杯・備忘録 122

  WAL/ITA 
 
 先日、ITA7年ぶりに六か国対抗で勝利した。弱者が勝つお手本のような試合。勝負の「鉄則」が見え隠れする。
 
 ラグビー、ほとんどの試合で「ワンサイドゲーム」はない。1995W杯:NZ145点取られ・記録に残され・記憶が上書きされ続けている試合でもJPNは「17点」取っている。
 およそ、試合中には、なぜか「流れ」があり、Momentumが行き来する。
 勝つためには、勢いのある時間帯の得点を最大化し、勢いのない時間帯の失点を最小化しなければならない。問題は、「流れ・勢い」を的確に感ずるゲームリーダーが存在するか、そのリーダーの感覚をピッチ上の全員が共有しているか、なのだろう。
 
 弱者の試合は、当然のことながら、勢いのない長い時間帯と勢いのある短い時間帯とから構成される。
おのずから、勝つためには、まず、「いい」というよりも「点を取られない」ディフェンスが求められる。ITAは、今シーズン、第1FRA戦から、40分〜60分は勝負になっていた。負け続けていてもディフェンス力は向上し続けてきた。課題は、選手層の薄さ≒後半の後半で力が尽きること。それをリザーブ:FW6人;BK・2人で対応しようとした。
弱者は得点力に劣る⇒PGで得点を積み上げていく。今シーズンのITAの試合を見ていると、大差をつけられるとペナルティ・キックを得た機会に、どうしてもトライを取りに行って・跳ね返されるシーンが目についた。この試合、引き離されなかったことが大きい。近中距離は10番・ガルビシが、遠距離は14番・パドヴァーニと良質なキッカー二人がピッチ上にいることも大きい。
 
 逆に、強者は、早い時間帯から「痛めつけて≒点差を開いて」相手の戦意を喪失させることが肝要である。ここで凌がれると試合がもつれる。
 
 試合中には流れがある。流れが変わるきっかけの一つがP
 このレベルの試合だと、両チーム、おおむね10回程度のPを取られている。ただし、順繰りに取られているわけではない。なぜか、連続して取られる。好循環⇔悪循環が生まれやすい。Pが連鎖するとMomentumが増幅される。流れにMomentumの圧が加わると、時として「激流」になる。
この試合のPITA:9、WAL11。どういう順番で取られたかは、(参考1)の4段目(ITAP)、5段目(WALP)にあるとおり。
ITAは、WALPで得た機会に狙えるところでは必ずPGを選択し、結果として15点を得ている。しかし、PGで試合が途切れるとMomentumも萎む感がある。
一方、WALは、PGを狙えるところでもトライを取りにタッチキックからのラインアウトを選択し続けた。彼我の力の差を考えれば、合理的な選択ではある。まして、ホームゲームの大観衆が待ち望んでいる。相手ゴール前マイボールラインアウト、スタジアムは熱狂に包まれる。「山場」であり、「見せ場」になる。
 
 この試合の「山場」の一つが前半16分からの攻防。(参考2)で、「k P-l P-l-P-l S l P-S S p-L tg」と表記されている。ITA(=大文字のアルファベット)のPで「-WAL(=小文字のアルファベット)のlとなる連鎖。ここでWALが取り切れなかったのが大きかった。それでも、ITAが一旦は凌いだ(ある意味では、Pで凌いでいる)後にWALはトライ・ゴールし逆転している。
後半も、ほぼWALの時間帯。攻め続けている。後半開始からの「K l P-l l l P-l s-P-l-tg
」、68分、15-14と逆転された後の「K P-l G* l S p-L TG」に猛攻で再逆転し、その後も攻め続けていた。けれども追加点は生まれなかった。WALの得点は、7(点)×3(回)=21点で、PGDGを一度も狙わなかった。プライドが邪魔をしたのだろうか…
 
 「幕切れ」は誰も予想出来なかったであろう。WAL6点リードで迎えた最終盤。ITAボールラックでWALPWAL11番がレフリーにクレームをつけたらしくPの位置が10m下げられる。そこからITAがタッチキック⇒ITAボール・ラインアウト。このラインアウト、WALがスチール! WAL22m内のラックからWAL21番が長めのボックスキック。これをキャッチしたITA14番が15番にパスしビックゲイン、14番に内返しのパスをして中央にトライ。7838秒。逆転ゴールが決まったのが80分のサイレン後の8005秒。禍福は糾える縄の如し…
 それにしても、㈰WAL11番がクレームをつけなかったら(見ていて、何がPだったのか理解できなかった=クレームをつけたくなるのは理解できる=レフリーは丁寧に説明すべきだろう) ㈪ITAラインアウトでWALがスチールなんてしなければ ㈫WAL21番、タッチに蹴り出していれば ㈬トライが10秒早ければ、ラスト・ワンプレー、WALのキックオフで再開されていたのに…
 
 WALに「奢り≒油断」はなかったと思いたい。ただ、試合開始前、この日100cup目の主将・ビガ−が、まず入場し、続いて、150cupのレジェンド・アラン・ウィン・ジョーンズが二人の子供とともに入場し・子供たちとの写真撮影まで行っていた。これには違和感を覚えた。何か、違う気がしている。
 
 「運」も勝負を分ける。この試合のレフリーはブレイス(IRE)。フランスが嫌っている謎のIREレフリー。TMOはジョイ・ネヴィル(IRE、テレビ音声で聞く限り女性。今シリーズ初めてのTMO≒経験値が低い)。この試合、2TMOが生じたが、2度ともレフリーの言いなりだったように思える。そして、二度ともITAに有利な=WALに不利な判定が下された。この二度の判定、見ている限り、誤審だと感じた…
 
 弱者が強くなるための鉄則は、強いチームと試合を重ねることだ。ITAは、六か国対抗のメンバーで居続けることで鍛えられている。JPNには、そういう機会が乏しい。「ないものねだり」をしても詮無い。どうして、勝つのか、知恵の出しどころなのだろう。
 
***************
 
 327日(日)六か国対抗(女子)第1節が行われた。FRA/ITAはグルノーブルで13,728人の観客を集めている。フランス・テレビ・ニュースの映像で見ると、スタンドは満席。この日、リーグワン6試合の観客総数は19,448人=1試合平均:3,241人。考え込んでしまう数字だ…
 
( 参考-1 )
2022-6-5 WAL/ITA経過表
二列目:IITAの得点経過
三列目:WWALの得点経過
四列目:IPITAP
五列目:WPWALP
Pのうち「R+」はマイボールラックでのP、「R-」は相手ボールラックでのP
G-」はPGを狙い外したもの。
 
前半
 
6
8
11
15
16
17
18
21
24
25
30
32
42
I
 
3
6
9
12
W
 
7
IP
 
R+
 
 
R+
R-
M
O
 
 
 
 
 
WP
O
 
F
R+
 
 
 
 
O
 
R-
R+
S
 
後半
 
 
42
47
50
51
55
57
61
68
69
76
78
I
 
15
G-
 
22
W
 
14
 
21
IP
R+
O
S
 
 
 
 
 
R+
 
 
WP
 
 
 
 
R+
R+
O
 
 
R-
 
 
 
( 参考-2 )
2022-6-5 WAL/ITA KSLPFD
「分」は得点時間
大文字は勝者 小文字は敗者のボール支配
K:キックオフ
S:スクラム
L:ラインアウト(L*は、50:22
P:ペナルティ (PG*PGを狙って外したもの)
F:フリーキック
D:ドロップアウト (D*はゴールライン・ドロップアウト)
- :関連するリスタート
 
 
得点
12
15
27
31
33
k S L f F p-L P-l d* p=PG
k p=PG
k P-l P-l-P-l S l P-S S p-L tg
K p=PG
k p=PG
k l L L f S-p-L
3- 0
6- 0
6- 7
9- 7
12- 7
51
56
68
78
K l P-l l l P-l s-P-l-tg
K p=PG
k p S p=PG* d L F S tg
K P-l G* l S p-L TG
12-14
15-14
15-21
22-21
 
平成442
 

2022年4月1日金曜日

4月1日は、いつもの様にランチ会・・・

4月1日の12時30分過ぎ、友人の Claude と彼の車で Alcazar に着いたら、既にGérard Xuriguera氏は待機して居ました。いつもの様にいつものメンバーで、お喋りしながら楽しいランチ会。今日は小雪がチラつく寒い日、帰りはタクシー乗り場迄、Gérard を見送り、私の方は歩いて帰るには寒過ぎるかなとバスで帰宅出来ました。

21年前の作品が、

3月30日、Paris のARTCURIAL のオークションに私の作品が出品されたと友人から連絡を頂きました。昔、コレクションして下さった方が、その後、時を経て、フランスのオークションに出品される事は良く在る事です。50年前の作品でも良く覚えている作品も在れば、アレ、どんな経路でオークションに出て居るのかと思い出せない作品も多々在ります。この作品は確か私の勘違いで無ければ以前、元・BNPデレクターのA・B氏がコレクションしてくれた作品。既に制作者を離れてどこかで生き延びて居る様です。そう言えば、10年前かな🧐パリのオークション会場の近くの路上で私の紙にアクリル絵の具で描いた1970年代の作品を3点、持ち歩いて居る方に偶然会い額に入った絵を見せて頂きました。私のサインが入って居た紛れも無く、私の描いた作品、私の知らない画商さんで、丁度、オークションで手に入れて来た所でした。